11月3日付け

カレイの巻


秋です。朝夕涼しくなりましたね。寒ささえ覚えるほどです。
この時期になるとそろそろカレイ前線は東京湾に近づいてきます。
最初は、浦賀水道から始まり(横須賀方面・観音崎あたり)、湾奥にまでカレイは産卵のためにのっこんできます。
眞子カレイ、石カレイ、沼カレイ、ナメタカレイ等々種類はたくさんありますが、今回取り上げるのは「眞子カレイ」であります。
東京湾で釣れるカレイの殆どがこの種類となります。であるからして、以下「カレイ」と表現するのは、「眞子」です。

カレイは、砂泥地を好んで生息し、食するのはゴカイ、ジャリメ等の砂地にいる見た目にグロテスクな原始のころからいたような虫たちであります。
昔の東京湾はカレイの絨毯とよばれた時期もあったと聞いておりますが、現在では乱獲が起因して釣り人にとってカレイはとても貴重な魚になってきております。

のっこみの時期のカレイは、脂も程よく乗り白身でとても美味しい魚です。私は、釣れるとすぐにその場でカレイの大動脈を切断し、バケツの中に汲みためた海水が血で真っ赤に染まるまで徹底的に血抜きをし、一枚(カレイの場合釣り人はこのような表現をします。)づつビニール袋にいれて新聞紙でくるみ、氷でギンギン冷えたクーラーに大切に保管して持ち帰ります。いわゆる「野締め」したカレイです。
この作業をしたカレイは、生臭さ、泥臭さが一切消えて、刺身で食べると「ヒラメ」など比べ物にならない旨さを出してくれます。
やはり、釣り人は、遊びだと言っても、殺生をしているわけですから、釣り上げた魚はしっかりと管理して美味しく食べてあげて魚の供養を充分にしてあげるべきと私は確信しているわけであります。(・・本当は旨いものを食いたいだけの餓鬼かも知れませんぞ)
刺身のほか、塩焼き、煮付け、から揚げなんでもこいの魚ですね。

つり方は、私は、「陸っぱり」を自認しておりますので、護岸及び桟橋から遠投で狙います。
キスつり用の遠投竿に遠投専用のリール、道糸は近年もてはやされているPEラインを200m巻いておきます。
(PEライン:ナイロンの糸に比べ、同じ強度でもラインが細いためより遠くに飛び、あたりも明確に取れます。ただ難点は、細いが故に、風のあるときなどは、空中でラインが絡んでしまうことです。)
竿を3本用意して、投入点を50m、80m、100mと3本をそれぞれ違うポイントに扇状に投げ分けておきます。そして、最終的にはあたりが出た距離に集中して投げ入れる次第です。この時期のカレイは群れでいますから、この手法がより釣果を増すことは請け合いです。
餌は、アオイソメ、ジャリメでも良いのですが、遠投する際にこれらの餌は身切れしてしまうので、私は、ちと高価ではありますが「イワイソメ」とよばれるよりグロテスクな餌を多用しております。常備していないお店もありますので、事前に連絡を入れて保管しておいてもらうと良いでしょう。
この餌を用いますと、外道としてとても嬉しいアイナメが釣れる事がままあります。うれしいですよね?


タックルの紹介は、以下の通りです。



あたりはラインと竿先でとります。
あたりの出方はさまざまで、竿先をがんがん叩くあたり、微妙に震えるだけ、何も動かないのに張ってあった道糸が知らないうちにふけている(たるんでくる)。概ねこの3種類なのですが、居食いといって何も変化を見せないのに魚が餌を食べていることがあります。
ですから、誘いをかねて定期的に聞き合わせをする必要もあります。

観音崎あたりで秋の美味しい空気を吸いながら、カレイのあたりをじっくり待つというのは心身ともにリラックスできて私の大好きなつりの代表格です。
40センチを超える大物がかかると(このサイズを釣り人は座布団と呼んでいます)、下へ下へと突っ込み、石鯛とは比べようがありませんが、結構楽しい引きを見せてくれます。

カレイフリークはたくさんいてのっこみの季節になりますと特に土日は竿が30センチ刻みで並ぶという大渋滞を巻き起こします。そこには必ず主のような人がいて、暗黙のルールが作られています。オモリの重さとか、投入点は何メートル以上とか、いろいろと制約をうけますが、大概はいい奴です。釣り場に入る前に誰がしきっているのかを確認して、ルールの確認をすると良いでしょう。時には、仕掛けの作り方まで講義してくれるときもありますが、釣り場の平和のためじっくりと聞いてあげることもマナーかもしれませんぞ?

カレイ釣りに関してお話をしてきましたが、我々は猟師ではありません。資源保護の観点から20センチ以下のものは必ず、放流しましょう。カレイ、アイナメ基金として毎年我がクラブでは一人あたり5000円を稚魚の放流資金として提供しておりますが、カレイは成長の遅い魚です。ルールは厳守してもらいたいものです。針をマルセイゴの15号以上を用いれば、20センチ以下の魚はかからないので、このような対応も必要かと思われます。
先程、放流しましょうと述べましたが、針のかかりどころが悪いと放流しても魚は死んでしまいます。
やはり、小さい魚が針ががりしないような工夫は大切かと思います。

さて、カレイ釣りの極意はわかってもらえたかな?
質問はウエルカムです。どうぞ、お気軽に質問してください。
これからの季節、観音崎、横須賀うみかぜ公園、金沢緑道公園あたりでまるで主のように口ひげを生やし、声が大きく、薄くなった髪を保護すべく麦藁帽をかぶった親父がいたら、それは私です。気軽にコラムを読んだといって声をかけてください。ビールの1本位は必ずご馳走します。
では、本コラムでまたお会いしましょう。
次回は、カンパチを紹介します。
待っててね!


11月17日付け

コラム カンパチの巻

さて、今回は釣行すれば間違いなく釣れる魚の話です。
名は「カンパチ」漢字をあてると勘八となります。 回遊魚で黒潮に乗り、10月から12月にかけて日本列島に接岸してきます。
漢字の由来は、頭に八の字の模様があるからといわれております。 ブリの種類に属するらしいのですが、ブリほどは脂がなく、上品な白身の魚です。
食するには、@刺身、A塩焼き、B鍋、C煮付けといったところでしょうが、私は@とBがお勧めですね。アラで取っただしは本当に上品で塩味の鍋でとても美味しくいただいています。@の刺身は、語るに及ばずと言ったところでしょう。こりこりと身がしまり、その食感たるやなんと表現してよいか分かりません。
伊豆大島へ行くと「陸っぱり」を自認している私は、早朝から、このカンパチとシマアジを狙って桟橋または磯からイサキ釣りで紹介したタックルで一日中狙い続けるのです。(タックルはバックナンバーを参照してください。)
時速150キロで泳ぐ魚と言われていますから、浮きが消しこんでからすぐに竿を立てないとハリスはひとたまりもなく切られてしまいます。私は、もっぱらフロロカーボンの6号を用いていますが、何度、煮え湯を飲まされたことか!

カンパチは、老成魚になると10キロを超えるのですが、なぜか身がぶよぶよになり、体内に有毒物まで有するようになって、生で食べるのには非常に危険であります。
漁師さんも、このサイズのものは、養鶏場とか養豚場に持ってゆくと聞いたことがあります。
幸いにして、「陸っぱり」で釣れるカンパチは2〜3キロものが殆どなので、最高の食材をゲットすることになるのです。

    

さて、実際のつりの話に入りますが、 タックルは、イサキ釣りと同じです。 「遠投カゴ釣り」にて沖合い約70〜100mを棚(魚の遊泳層)10mにて狙います。潮に浮きを流してゆくのはイサキと同じであります。ただ、イサキはハリスが3号でよかったのに比し、カンパチは、最低でも5号、私は6号のハリスを用います。針はヒラマサ用のごっつい奴を結びます。
あたりは明確で、一気に浮きを消しこみ、道糸がギュウーンと糸なりを起こします。その瞬間に竿を立てないと間違いなくハリスに負荷がかかりすぎてぷっつりといってしまいます。よそ見は禁物です。
竿を立てて最初の一のしを耐えたら、これからが勝負となります。回遊魚ですから、がんがんと走りまくります。元気なうちはリールのハンドルは巻けません。ドラグがジリジリと鳴ってラインは出て行くばかりです。ドラグの準備を怠ると先述の竿を立てない場合と同様の悲劇が起こるので要注意であります。
誰かにカンパチのあたりが出たとき、回りの人は全員仕掛けを回収して取り込みを待つのがルールです。法律ではなく慣習です。これを励行しないと暴れた魚が全員の仕掛けを巻き込んで、さようならの憂き目を見ることになり、魚を掛けた釣り人はとても寂しく、悲しい思いをすることに相成ってしまいます。中には、面と向かって罵倒する人もいるので慣習は、是非とも守りたいものです。

数分間ドラグを鳴らしまくった魚が落ち着いてきたら、少しドラグを締めて、リールを慎重に巻いて魚を手前に寄せてきます。魚体が見えても安心はできません。最後の力を振り絞ってまた海底へと突っ込んでゆくからです。このときにハリスを切られた人を何人みてきたことか?かくいう私もその一人なのですが・・・・・・・
なんとか海面まで浮かしたら、タモ入れをするのですが、ここもとても肝要なのです。絶対に魚を追い掛け回さないことです。海中にタモの網の部分を入れておきその中に魚を誘導してゆくのです。愚息に魚を追いまくられて、とても大きなシマアジをばらした苦い思い出があります。網のフレームにハリスが巻きついて切れてしまうのです。
このように、掛けてから、ランディングまで結構技術のいる釣りなのです。 リールのドラグ調整は絶対に怠らないようにしましょう。そして、脇見運転は必ず、事故に直結するので注意が必要です。

餌は「オキアミ」こませも「オキアミ」で充分です。但し、小魚を食しようといわゆるナブラを形成しているときは、絶対にオキアミには食ってきません。やはり、人間と同じで、旨いものが目の前にあれば、まずいものには見向きもしないのでしょうな?

カンパチは俗に釣り人の数だけ釣れるといわれています。 要するに食い気が立つと群れを成している(こませに集まってきた)カンパチ全てが餌に飛びつくからです。
しかし、前述のように先にかかった人にランディングの優先権があります。「入った」と声がかかったら、悔しくてもひたすらリールを巻いて仕掛けの回収を励行しましょう。
次は、自分だと言い聞かせることです。

中央法律研究所の皆さん。私に3日間の連休を下さい。11月下旬に入ってからで結構です。
必ず、コリコリのカンパチをご馳走します。
「なんとかしてくれー」これが私の魂の叫びであります。
以上でありますが、読んでくれている皆さん、過去の体験ばかりでは面白くないでしょ?
実際の釣行記が読みたいですよね?
ところが、ケチな当研究所の経理がコラムの連載は要求するくせに、釣行の予算とヒマは出してくれないのです。
これってどう思いますか? ありえないでしょ? ホームページにアクセスして私に予算をふんだんに出すよう嘆願運動をお願いしますよ?
次回は、釣行記を(自前で)載せます。
意地でも釣行記ですよ。お楽しみに