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石鯛の巻

 磯の王者、幻の魚、「石鯛」

 追い求めて何年が経過しているのだろう?

 土砂降りの雨の中、雷雨の中、35度を超える暑さの中、耐えました。

 しかし、あたりすら見せてくれません。

 昨年は、石鯛釣りに初めて挑戦する、隣で竿を出す「愚息」が3キロのホンイシを釣りました。

 私の所属する石鯛のクラブからも「だれだれが、石廊崎で何枚あげた。」とか情報はメールで一杯来ます。

 しかし、私は、見放されてはや5年―

 なぜか、本命は竿を絞り込んではくれません。

 悲しいです。つらいです。石の上にも3年という言葉もあるではないか?天は我を見放したのか?

 嘆き、ぼやきはこれぐらいにして近年実績のない私が石鯛を語ります。



 10月から12月にかけて水温が安定する頃、伊豆半島では本格的な石鯛のシーズンを迎えます。

 タックルは以下の通りです。

 九州では南方宙釣りに象徴されるように持ち竿で狙うようですが、関東地方では、磯にピトンを打ち、置き竿で狙います。

 回遊魚(ブリ、イナダ、カツオ)と違い潮回りに関係なく、磯に対して正面から当たってくる潮が効く時によくあたりが出ます(といっても私が経験した本命のあたりは5年前ですが)。



 石鯛釣りの外道でよく出るのが、ウツボ、カンダイ、ワサ(イシガキダイのことですが、伊豆地方ではこのような表現を用います。)、カサゴ、カワハギ、真鯛といったところですが、どんなに大きな真鯛を釣り上げようとも「井上さんの石鯛はなんと赤いよ。」といった具合にバカにされるだけなのです。

 本当は、持って帰り食べたいのですが、見栄張りなわたしは泣く泣く海に返すという愚行(?)に出たこともあります。それほどまでに、石鯛を専門に狙う連中は、「ホンイシ」にこだわりを持ちます。



 餌は、サザエ、トコブシ、ヤドカリ、ガンガゼ(ウニです。ハリが全身を覆っています。さされると腫れます。)を用いますが、前3者は、ウツボがいたずらをするのでもっぱら私は、ガンガゼを用います。

 大潮の干潮時に西伊豆へいくと釣りに使う分くらいは簡単に採取することが出来ます。

 最近は、注文しておくと釣りえさやさんでも買うことができます。

 しかし、私は買ったことがありません。

 餌の採取からが「石鯛釣り」だと確信しているからです(実はロハで入手できるものを何で金を出して買うのか?と言うのが本音かもしれません)。

 ただ、採取できると言っても場所によっては、漁師さんがとてもウルサイところもあるので、採取する際には「石鯛で使う分だけ取らせてください」と断りを入れたほうが賢明でしょう。

 漁師さんはアワビ、サザエを取っているものと勘違いをし、いきなり怒鳴りつけます。

 気をつけましょう。

 無用なトラブルです。



 アタリは豪快そのもので、竿が、グングンとしなり(この瞬間は心臓がバクバクして心臓が喉から飛び出しそうになります。入れ入れと祈り続けます。)完全に針かかりすると竿先が海中に突き刺さります。

 この突き刺さったときが合わせのタイミングです。

 早合わせは厳禁です。

 充分に餌をくわえ込んでいない状態で合わせると見事にすっぽ抜けます。

 しっかりフッキングすると、ここが磯の王者と呼ばれる所以かと思うのですが、最初は根がかりしたような重量感を覚え、その後、グワンと手許に衝撃が走ります。

 ハリスはワイヤーですから切れる心配は殆どありません。

 体力に任せてひたすら格闘します。

 魚は釣られまいと沖に走ったり、根にもぐりこもうと必死の抵抗を見せますが、とにかく魚の頭をこちらに向かせることに集中します。

 やり取りのあと疲れきった彼は海面で参りましたという悲しい顔を見せますが、無常にも私は、磯に抜き上げます。

 これで、完了なのです。

 まるで、いつも釣れているような書き方ですが、先述のとおり「釣れないのです」。

 なぜか私は「釣れないのです」。



 今年も余すところ3ヶ月!

 雌伏5年、伊豆半島の石鯛はすべて釣りきってやろうという意気込みの井上が書きました。


 追伸

 石鯛釣りの本当の楽しさは、自虐的かもしれませんが(最近の表現を借りるとMですね)、釣れないことなのかもしれません。

 釣れた時の喜びをひたすらに追い求めているのかもしれません。

 皆さんが合格したときの釣行は「石鯛」はやめておきましょうね?なぜか?分かるでしょ!