「等身大の受講生」第2回 Sさんの場合
[Sさんのプロフィール]
―すぐに受験指導校(予備校)へ通われたのですか?
S「いえ、問題集を買って独学でしばらくやってみたのですが、全然ダメでした。2年近く独学をして、その間も受験してみたのですが、非常に難しい試験だということを感じました。」
―独学は大変だったでしょう?
S「そうですね。仕事を辞めた直後は時間がたくさんあることを実感して、勉強に割り当てる時間も多く取れたのですが、勉強が難しいこともあって徐々にだらけてしまい、勉強よりも休養の時間のほうが多くなってしまいました。」
―独りで勉強のリズムを作るのは難しいですよね。
S「そうなんです。リズム作りも難しいですし、勉強の範囲の割り振りもなかなかうまくできなくて、民法の総則ばかりを何度も繰り返してしまったりと、勉強の範囲が偏りがちになっていました。それで、これはどこか学校に行かなきゃだと思って予備校探しを始めました。また、択一試験は独学でもクリアできると思ったものの、記述式試験(書式)は独学では難しいんじゃないかと思ったのも、予備校へ通おうと思った動機です。」
―中法研を選んだ決め手は何だったのでしょうか?
S「資料請求をしてみて、パンフレットなどからアットホームな感じがしたことと、少人数制教育という点ですね。自分の目で確かめようと体験受講に来たのですが、そのときに手書きの板書図などを見せてもらい、それも気に入りました。いわゆる大手の学校も訪ねてみたのですが、大きな教室で受講生も多いのを見て、自分にはちょっと合わないと思いました。」
―中法研へ入ってみていかがでしたか?
S「思った通りのアットホームな雰囲気で、勉強のリズムも作れてよかったです。授業のコマ数は、最初はそんなに多くないなと思って始めたのですが、実際にやってみると予習・復習で他の日もいっぱいいっぱいになってしまいました。週2日で5コマしかなくても、ボリュームはかなりあると思いました。他の学校ではもっと過密なスケジュールもあったので、あれをやっていたらどうなっていただろうとぞっとすることもあります。」
―そうですか。確かに、パンフレットで見ただけだともっと沢山できると思われがちですが、皆さん、講座が進むにつれ徐々に大変になってきたと仰います。Sさんは、予習や復習をどのようにやっていますか?
S「予習は、指示がある場合にはテキストの範囲をパラパラ見る程度です。復習はかなり綿密にやってしまうタイプなので、気づくと授業時間と同じ時間をかけていたり、ひどい時には倍の時間やってもまだ終わらないということもあります。」
―それは、大変ですね。几帳面な方の場合、復習がなかなか進まなくて苦労することが多いようです。法律の学習はどこまでも考えを進められるのが面白い半面、悩みだすとキリがなくなってしまいます。「つい時間がかかってしまう」という方は、復習の時間を決めて終わらせるのがいいですよ。
―Sさんの毎日の生活パターンはどのような感じでしょうか?
S「朝は8時ころに起きて、午前中は掃除などの家事をすることが多いです。夜は午前1時、遅いときは午前3時ころに寝ることもあります。勉強は昼間から夕方に集中してやることが多いです。自宅での勉強は飼い犬がじゃれて来て気が散ってしまうので、カラオケボックスを使うことが多いです。
―カラオケボックスですか?
S「はい、平日の昼間に「一人カラオケ」という料金の設定があって、3〜4時間くらい過ごしますが、それで600円とか700円で利用できるんです。そこへ週に2回程度行っています。
―うるさくはないですか?勉強できるんでしょうか?
S「私の場合、少し雑音があったほうがやりやすいです。照明は全開にすると十分明るくなりますし、机の高さも私には気にならず勉強に集中できます。喫茶店やカフェで周囲を気にしながら勉強するよりいいですよ。インターネットカフェも試してみましたが、照明が暗かったのであまり良くありませんでした。カラオケボックスではビジネスマンが仕事をしていたりギターの練習をする人がいたりと、人間模様があるのも楽しいです。私の場合、会社時代の友人とランチを食べて、それから勉強へ向かったりするのが一つのパターンになっています。」
―なるほど。びっくりしましたが、そういう勉強スペースもありうるのですね。
S「その他の勉強場所としては、商業施設のコンコースのフリースペースの机などを利用したりします。自宅では誘惑が多いので、外に出た方が気分が変わって勉強に集中できるんです。」
―大学時代の勉強についてお伺いしますが、当時良く勉強した科目はありますか?
S「いえ、学生時代はあまり勉強していなくて・・(笑)。商法は同じ科目を3年繰り返してようやく単位が取れたこともあったりと、あまり勉強熱心ではありませんでした。それで、商法は苦手意識が出来てしまったのですが、会社法が制定されて内容が様変わりしたので、新たな科目として勉強できて嬉しいです。」(事務局注:旧商法典中に規定されていた会社法関係法規が法改正により独立した「会社法」として制定され、H17年に施行されました。内容も大幅に変更されています。)
―法学部卒業という経歴は受験上有利ですか? 今のお話ですと、そうでもないかもしれませんが(笑)
S「そうですね、学部時代に勉強していなかったので(汗)、有利には感じません(笑)。初学者の方と同じく新たな気持ちで勉強しています。」
―学部時代に入っていたゼミは?
S「一応、民訴のゼミです。勉強してなかったので言いたくないのですが(笑)。なので、法学部卒というのは、私の場合、まったく関係ないと言っていいと思います。勉強内容の点でも、大学時代は法律をやっても使えるようになった気がしなかったのですが、今やっている司法書士試験は実務に即した内容をやっている感じがして、使える法律を勉強している気持になれます。今日も、高齢者の支援センターで司法書士が活躍する様子をテレビで見ましたが、かっこいいなあと思いました。早くああいう風になりたいです。」
―勉強時間について教えて下さい。今は十分できていますか?
S「いまは全然足りていないと思います。できれば毎日6時間くらいはやりたいと思うのですが、平均すると3時間くらいになってしまっています。一日に複数の科目をやろうとすると3時間ではどれも中途半端になってしまう感じがします。やはり、6時間くらいは確保しないと充実しないと感じています。」
―たしかに、専業受験生としてはもう少し勉強時間を増やしたいところですね。
―択一過去問の演習についてはどのような勉強方法を取っていますか?
S「一問やっては一問解説を読む、というやりかたをしています。解説の検討に15分くらいかかってしまうので、1時間に4問程度しかすすめられていません。」
―たしかに、一問ずつ解説を見てゆくと時間がかかりがちになりますね。遅々として進まないのがストレスになるようでしたら、10問くらいの単位で一度に解いて、解説もまとめてチェックする方法を採ってみるのもいいかもしれません。
―根拠条文の確認は毎回していますか?
S「はい、条文はよく引いています。条文の大切さは認識しているので、自分でも『条文マニア』(笑)と思うくらいに引いています。」(事務局注:「辞書を引く」と言うのと同じように、条文を参照することを「条文を引く」と言います。)
―おお、それはとても良い姿勢ですね!条文は法律家の大切なよりどころですので、ぜひ続けていってください。
―今はどの科目をやっていますか?また、その仕上がり具合はどうですか?
S「民法をやっています。まだ、完璧という気にはなれないです。物権や、その中でも根抵当がちょっと苦手なので、そこを強化したいです。」
―物権は司法書士試験の中心部分にあたりますので、ぜひ得意分野にしてくださいね。
―書式の勉強についてはいかがですか?
S「まだ、手探りの状態ですね。昨年度、書式攻略講座に前倒しで参加してみて、択一の知識と書式の問題がつながっていることがわかりました。ただ、まだぼんやりとしたイメージなので、この冬はしっかりやりたいです。問題を見たときに、どういう登記が必要なのかということは分かるようになってきましたが、それをどのように表現するのか、登記事項などをもっと詰めて覚えないといけないと感じています。
―たしかに、基本書式は一時期に詰めてやってマスターしてしまった方がいいですね。
S「一方、添付書類の必要性は山崎先生の指導で意識が行くようになりました。それぞれの場面でどういった書面が必要になるのかを考えるクセをつけることができました。また、書式攻略講座で、択一の知識が書式の問題のベースになっていることがわかりました。択一の問題の肢ひとつからでも書式の問題ができてしまうことに驚きました。あの講座のお陰で、択一知識の重要性がよく理解できたので、今後は、まず択一の知識を深めてゆきたいです。」
―そうですね。先日のKさんのインタビューでも触れましたが、順序としては択一が先で書式はあとから勉強するのが最も効率が良いです。まずは、択一知識のマスターを目指してください。
―さて、中法研に通うようになって1年が経過しましたが、昨年度の講座で印象に残っているものはありますか?
S「なんといっても、民法ですね。民法は親しみがあるものの、内容を全然覚えていなかったので、新たな気持ちで勉強できました。大学時代の講義を思い返して比べてみても、紅谷先生の講義は分かりやすくて「できる」気にさせてくれるのが良かったです。
色川先生の講義(不登法、会社法・商登法)は、講義中に受講生に質問をするので、当てられるかもしれないという緊張感がたまらないです。当てられたときに答えられないと恥ずかしいので、頑張らなきゃと思って勉強していました。そのお陰で、今でも当てられたところはよく覚えています。」
―難しい科目などはありましたか?
S「そうですね、科目ごとの特徴としては、不登法や会社法・商登法は分量が膨大で理解が追いつかなかったのが大変でした。今も不登法や商登法にはまだ十分に手が回っていなくて、ちょっと焦っています。」
―中法研に来て初めて理解できた、「そうだったのか」、というようなことはありますか。
S「紅谷先生の話してくださった根本的な法の成り立ちの説明などは、大学で聴いた覚えがなかったことなので、そういうことだったのかと改めて理解ができました。
それで、嬉しくなって、友人に会った時に得意げに説明をしてみたりしています。みんな面白がって聴いてくれますよ。最近は、ちょっとうるさがられているようですけれど(笑)。」
―他人に教えるとか説明するというのは、自分の勉強にとてもプラスになりますよね。本当に理解していなければ、わかりやすく話すことはできませんから。逆に、詰まってしまった部分があれば、そこがまだきちんと理解できていないということが判るわけです。
―では、日頃の勉強の反省点などはありますか?
S「もう、日々反省の繰り返しです(笑)。思ったほど時間を確保できていないのが一番です。休憩を取るとつい長引いてしまうので、気をつけたいです。今年本試験を受験しましたが、直前期に週に2回も映画を見に行くなど、現実逃避をしてしまったのも大きな反省点です。」
―あらら、それはいけませんね。なぜそうなってしまったのでしょう。
S「直前期になってから勉強範囲を考えたところ、やるべきことが多すぎることに気づいたのですが、気づくのが遅すぎて『もう間に合わない!』と悲観的な気分になってしまったんです。一年目なので主要4科目だけに力を注げばよかったのですが、マイナー科目まで手を出してしまいました。5月末から6月にかけてが一番つらかったです。」
―間に合わない中でも、「これだけはやった」ということはありますか?
S「はい、民法です。全科目の準備は無理だと思った中で、民法だけはとりあえずしっかりやろうと思って過去問をしっかりやりました。」
―では、反省点とは反対に、「これはよかった!」という点はありますか
S「そうですね。勉強に集中する方法としては、環境を整えることが大切だと思いました。勉強の場を確保できたときには勉強に集中できましたから。
あとは、講義の中で、先生が他の科目とのつながりを示しながら話をしてくれたことはよく覚えています。講義中はどうしても目の前の科目しか見えないため、つい単独の法規だと思ってその科目にしか注意が行かなくなるのですが、先生が他の科目とのつながりを示してくれたときなどには、法律の関連性を意識することができました。視界が広がったような感覚をよく覚えています。」
―なるほど。独学では気づきにくい視点を与えてもらえるのも、受験指導校を利用する利点ですね。
―勉強で苦労する点はありますか?
S「計算が苦手です。相続分の計算や登録免許税の計算などです。」
―苦手はトレーニングをする必要がありますね。会社法の議決権の計算が苦手な人はそれを集中してやるなど、自分の弱点に応じた訓練をすると良いでしょう。
S「あと、たとえば民法の相続など、自分自身の日常にあてはめて考えられるものは覚えやすいのですが、物権編は、不動産取引などを日常的にやっているわけではないので、具体的なイメージがしづらくて理解がしにくいです。
それから、自分の思考のクセとちがう考えの問題については、いつも間違えてしまいます。答えを両方思い浮かべた上で、あれ、どちらだっけと思った上で間違えることが多いです。そういう問題については、その解答の考え方に自分の思考を塗り替える必要があるので、マスターするまで努力が必要だと感じます。」
―そうですね。自分の考え方というのはなかなか変えにくいため、間違える問題は毎回間違えてしまいますよね。誰が見ても難しい問題は皆さん同様に苦労するのですが、通常の難易度の問題でも個々人の思考の傾向に合わないものは、やはり苦労されていますね。どの問題がそれにあたるのかは、人それぞれなので実際に勉強してみないと解らないのですが、必ずいくつかはそういう問題が出てきますね。
―さて、長時間考えると気持が煮詰まってきますが、おすすめの息抜きの方法はありますか?
S「アロマテラピーがいいです。お香などのインセンスで、とくに甘い香りが好きです。気分が変わっていいですよ。私はおばあちゃん子だったので、お線香のにおいが好きなんです。お香にもいろいろなにおいがあるので、選ぶのも楽しいですよ。毎朝同じ香りを嗅ぐと、「あ、朝だから起きなきゃ」というような条件づけになるようで、これは勉強にも転用できそうな気がします。」
―それは良さそうですね。他に気を休める趣味はありますか?
S「はい、いっぱい(笑)。F1が好きで、今はフェラーリのファンです。それから、スクーデリア・トロ・ロッソというチームの若いドライバーに期待しています。まだ実際に見たことはないのですが、翼があれば飛ぶと言うくらい速いそうです。一度見に行きたいです。
あと、「目玉の親父」(ゲゲゲの鬼太郎)がお気に入りです。ご当地ストラップをもらったのが最初なんですが、なんだか気に入ってしまい、いろんなグッズを集めています。友達が買ってきてくれたりもするので、だんだん増えて、もう100を超えていると思います。
犬も好きで飼っています。パピヨンで耳がフワフワしているんです。メスなんですが、もともと気が強い犬種で、うちの子も凶暴です(笑)。私が散歩好きなため、一度にたくさん歩かせるのですが、途中で犬の方が嫌になっちゃうみたいです。
他には、映画に旅行、食べ歩き。お酒は日本酒ですね。」
―楽しそうでいいですね。勉強が入っていないのがちょっと寂しいですが(笑)
S「あ、勉強も(笑)」
―では最後に、来年の合格に向けて、いま計画している勉強を教えて下さい。
S「今は民法を完璧にしたいです。やはり全てのベースなので。時期的には、10月中に一通り回して、民法に自信を持てるようになれればいいなあと思っています。その先は、不登法と会社法のいずれかをやる予定です。11月末には書式攻略の不登法基礎編が始まるので、不登法からですかね。」
―次回お話を伺うときまでにやっておきたい目標は何でしょうか?
S「民法をすらすらできるくらいまで進めたいです。民法の中でも、物権に力を入れたいです。その上で不登法に入れればいいなと思います。」
―今日は長時間ありがとうございました。
S「ありがとうございました。」